日本時間5月5日にラスベガスで開催される世界スーパーバンタム級タイトルマッチで、井上尚弥に挑むラモン・カルデナス。その名はまだ世界的には無名かもしれないが、彼の歩んできた道のりは誰よりもドラマに満ちている。
井上尚弥 vs ラモン・カルデナス 勝敗予想!当てたらもれなくアマギフ500円がもらえる!
「夢を叶えるには、どんな手段でも選ばない」。ラモン・カルデナスが歩んできたキャリアは、まさにその言葉を体現している。
アメリカ・テキサス州サンアントニオ出身のカルデナスは、プロ戦績26勝1敗(14KO)、現在14連勝中と、地元では実力者として知られる存在だ。しかし、4団体統一王者の井上尚弥というモンスターに挑むチャンスを得るまでの道のりは、決して平坦ではなかった。
才能はあった。だが、スポンサーや大手プロモーターの後ろ盾はなかった。ジムでのトレーニングに加え、彼が日々行っていたのは、ライドシェアサービスのドライバーとしての勤務。Lyft、Uber、そしてDoorDashでのフードデリバリー。昼夜を問わず車を走らせ、ガソリン代を気にしながら試合費用を稼ぎ、ジムに通い続けた。
「生活は厳しかった。でも、諦める理由にはならなかった。むしろ“絶対に這い上がってやる”という気持ちが強くなった」とカルデナスは語る。
サウスポーの構えから繰り出されるカウンターと、リズムを崩すフットワーク。豪快なKOではなく、相手の呼吸を読み切る冷静さが彼の最大の武器だ。2019年には元王者ディエゴ・デ・ラ・ホーヤとのスパーリングでも互角以上に渡り合い、「あのとき、自分の力は世界でも通用すると確信した」と話す。
2023年にはWBAランキングを駆け上がり、トップ15に定着。そして2025年5月、ついに統一王者・井上尚弥への挑戦権を手にすることとなった。
もちろん、世間の評価は圧倒的に井上に傾いている。4階級制覇、26KO、パウンド・フォー・パウンド1位の声もあるモンスター。世界中のファンが“どれだけ早く終わるか”に注目しているのが現実だ。
しかし、カルデナスはこう言って笑った。
「俺は勝ち組じゃない。でも、勝つ方法を知っているつもりだ。誰も信じなくても、自分だけは信じてきた。今回もそれは変わらない」
下馬評を覆す大金星か、それとも“世界の壁”の前に砕けるか──。
カルデナスのボクシング人生を懸けた挑戦は、まもなくゴングを迎える。